- どんなトレーニングをすれば足が速くなるのかわからない
- 練習の計画がうまく立てられない
- 陸上選手の1年間スケジュールはどうなっているの?
このような疑問を持つ方もいると思います。
そこで今回は、短距離選手を中心に、1年間の練習計画について解説していきます。
練習計画を明確にして個人の課題をクリアしていくことは、目標の達成の近道となるので、ぜひ最後までご覧ください!
練習計画の基礎
練習計画には、内容・休息・時間配分・練習場所などの要素から総合的に計画が必要です。
目標の設定も重要で、1ヶ月後の記録会と、3年間の集大成となる大会では計画も異なります。
そこで、はじめに練習計画の基礎となるトレーニングの期分けについて解説します!
トレーニングの期分け
1年間をいくつかのトレーニング期間に分ける考え方をトレーニングの期分けと言います。
それぞれの期間において、練習の課題や方法を考えることが必要になります。
具体的な期分けは以下の4つです。
- 一般的準備期(鍛錬期)
- 専門的準備期
- 試合期
- 移行期
一般的準備期
低めの質で量を多くこなすことで、基礎体力を高める時期です。
一般的に11月か12月~1月の間に行われます。
この時期に土台を作ることで、シーズンの成長が変わる部分となるので、しっかり基礎を作ることが重要です。
どんなに高い山も、土台が広くないと高くなりません!
基礎体力をしっかり付けて記録向上を目指しましょう!
専門的準備期
目指す大会に向けて練習量を徐々に減らし、質を高めていくことで、状態を挙げていく時期になります。
高校総体やインカレなどの主要大会が5~6月に多いため、2月~3月の間に行われるのが一般的です。
神経系を鍛えることで、すばやい動きができるようにすることが重要になります。
徐々に出力が上がる時期のため、怪我が多くなります。
自分の状態をしっかり把握し、ケアをすることで、怪我をしないように気をつけましょう!
試合期
主要大会を含む、各種大会・記録会に時期になります。
4月~10月の長期間がこの時期にあたり、最もパフォーマンスが発揮され得る時期となります。
長期間試合が続くと、パフォーマンスが低下するため、8月あたりに準備期(中間期)をつくり、基礎体力を向上させることで、10月までのシーズンを乗り切るのが一般的です。
試合では、1本1本でスピードを出すことが求められるので、しっかりとスピードを上げて練習することが重要な時期となります。
移行期
試合期間の心や体の疲れをリフレッシュする期間です。
この時期にシーズンの反省を行い、冬季練習に向けた課題を明確にすることも重要となります。
練習の周期
ここまで、一般的な1年間の流れについて説明してきました。
次に、トレーニング計画の具体的な立て方について、説明します。
トレーニングの計画については様々あり、中・長期的な計画もあれば、短期的な計画もあります。
それぞれの、計画について簡単に説明していきます。
少し難しい話になるので、
興味が無い方は次のトレーニングの原理・原則まで飛んでも大丈夫です!
トレーニング期間の種類
トレーニングの計画は、1日のトレーニングを計画することから始まります。
この1日のトレーニングメニューをトレーニングユニットと呼びます。
トレーニングユニットを組み合わせていくことで、短期的な目標を立てていきます。
ミクロサイクル
1~2週間の単位で練習計画を立てることを言います。
1~2ヶ月での中期的目標を達成するために、強化・回復・調整などの各側面で目標を立てていきます。
このミクロサイクル内で試合や記録会がある場合には、そこでの目標を設定することも重要となります。
試合期では、無理な練習はせずに疲労を取ることも重要となります。
メゾサイクル
4~8週間(1~2ヶ月)の単位で計画を立てるサイクルを言います。
トレーニングの効果は2~3ヶ月で出始めるため、重要なサイクルです。
メゾサイクルは、ミクロサイクルの集合でもあるので、メゾサイクルでの達成目標を前提に、ミクロサイクルを作ることが重要となります。
マクロサイクル
4ヶ月~1年間の計画で立てるサイクルになります。
準備期は4ヶ月間という長い期間、試合期では短い期間で構築する必要があります。
年間プラン
ここまで説明した、サイクルで短期~中・長期的経過くっを組み合わせることで、1年間の練習計画を立てていきます。
試合日程を把握して、どの大会を1年間の最大の目標にするかを決めましょう。
そのうえで、目標とする大会までにいつから準備するのが良いのか逆算して計画を立てることが重要です。
休養の重要性
練習計画について述べてきましたが、休養も重要な練習の一つです。
練習による疲労は個人差がありますが、24~48時間で回復します。
この時には、それまで以上の状態に高められ、超回復と言います。
十分な回復が行われずに、回復の途中で練習を行うと、超回復するまもなく疲労が蓄積し、怪我につながります。
練習の効果を高めるために、適度な休息を入れましょう!
スポーツ庁では、学生の練習において、学期中は週2日の休息をもうけ、週あたりの活動時間は16時間未満が望ましいとしています。
適切な休息を選択することも、効率的な練習につながります。
トレーニングの原理・原則
ここまで練習計画についての説明をしてきましたが、練習を計画するときに重要なトレーニングの原理・原則もあります。
これらの原理・原則を理解することで、トレーニングをより効率的に行うことができます。
それでは、トレーニングの原理・原則をそれぞれ説明していきます。
トレーニングの原理
トレーニングの原理として、以下の3つがあげられます。
- 過負荷の原理
- 特異性の原理
- 可逆性の原理
順番に見ていきましょう!
過負荷の原理
トレーニングを行う際には、ある一定以上の負荷でトレーニングをこなすことで能力が向上します。
能力が向上したにもかかわらず、同じ負荷でトレーニングを続けることは、成長を妨げる要因になります。
効率よく能力を向上させるためには、自分の能力に合った負荷を選択することが重要です。
しかし、急激に負荷を高めてしまうと、怪我の原因ともなるので、トレーニング負荷は慎重に見極めましょう!
特異性の原理
個人の実力に合わせて、トレーニングの種類・強度・量・頻度を選択する必要があります。
中学生と大学生では、こなせるトレーニングに違いがありますし、同じ中学生でも体格差などがあります。
体のどの部位に作用させるのか、どのように機能させるのか、目的を明確にし、トレーニングを選択することが重要となります。
可逆性の原理
体には様々な環境に適応する能力が備わっています。
そのため、トレーニングを続けることで、そのトレーニングに適応していき、能力が向上していきます。
逆に、トレーニングを続けなければ、トレーニングをしていなかったときの水準まで能力が低下していきます。
休むことも重要ですが、必要以上の休息は取らず、継続してトレーニングをしていきましょう!
トレーニングの原則
トレーニングの原則は以下の5点です。
- 全面性の原則
- 個別性の原則
- 漸進性の原則
- 意識性の原則
- 反復性の原則
これら以外にも、環境や人間関係、生活習慣などの様々な要因が関与していますが、まずはこの5点について理解していきましょう!
全面性の原則
特定の能力だけを鍛えても、それを生かすだけの土台ができて異なけらば、全体としての能力の上昇は小さいものになってしまいます。
そのため、特にトレーニングの初期では、基礎を作るために全面的なトレーニングを行う必要があります。
特定の能力だけでなく、様々な能力をバランス良く鍛えることで専門的な能力を伸ばす土台ができます。
さらに、可能性を広げることができるので、トレーニングは全面的にやった方が効果的です。
個別性の原則
トレーニングの際は、発育発達や、性別による差を考慮する必要があります。
同じトレーニングをして自分と他人を比べて効果を比較する必要はありません。
自分に合ったトレーニングを模索し、行うことで、トレーニング効果は上昇します。
私も身長が低かったので、周りよりも効果がでにくかったですが、大学に入って自分で課題を考えるようになってからは、記録を大幅に向上させることができました!
漸進性の原則
トレーニングの内容は、強度が高いものから低いものへ、簡単なものから難しいものへ徐々にレベルを上げていくことが原則です。
身体能力やパフォーマンスの向上に合わせて、トレーニングの内容は適切に選択していく必要があります。
意識性の原則
指導者から与えられたトレーニングをただこなすだけでなく、自分自身でトレーニングの意味を考え、内容を理解し、目的と意識を持って取り組むことで、トレーニング効果は上昇します。
トレーニングの内容について考え、向上心を持ち、積極的に実践していきましょう!
反復性の原則
トレーニングの効果は一朝一夕では得られません。
効果が現れるのは2~3ヶ月と言われいるので、トレーニングを途中でやめてしまうと、成果が積み上がりません。
トレーニングは修正しながら計画的かつ継続的にトレーニングが必要になります。
ただ漫然と同じトレーニングをするだけでは効果は上がりにくいので、気をつけましょう!
トレーニングのポイント
練習計画について説明してきました。
最後に実際にトレーニングメニューを立てる上でのポイントを簡単に説明していきます。
具体的には以下の3つです。
- トレーニングの負荷
- トレーニングの適時性
- 練習の評価
それぞれ見ていきましょう!
トレーニングの負荷
これまで話してきたとおり、トレーニングの負荷を決定することは効率的なチオレーニン具をする上でかなり重要な要素です。
トレーニングの負荷は、強度・量・密度で評価され、トレーニング負荷は強度×量で決められます。
密度はトレーニングの頻度のことを指し、適切な密度を選択することで、過度な疲労や怪我を予防します。
また、トレーニングの質も重要で、自分のコンディションや環境、使用する器具等にも関わるため、準備の段階から気をつける必要があります。
器具を大切に扱うことは、トレーニングの質を維持することにつながります!
トレーニングの適時性
体は20歳くらいまで徐々に成長し、体力もそれに伴い高まります。
トレーニングを本格的に始める時期は、身長が最も伸びる時期を基準とするのが良いです。
体力要素はそれぞれ習得タイミングが違い、男女によってもタイミングが違うので注意が必要になります。
練習の評価
練習計画はその都度修正・改善する必要があるため、練習の評価はかなり重要な要素です。
練習評価にはPDCAサイクルを活用するのが効果的です。
日誌を付けて評価の記録を残しておくことも良いと思います。
日々の体重や体脂肪、起床時の心拍数や運動時の最大心拍数などを記録することも、その日の調子を見極める際に役立ちます。
まとめ
今回は練有計画について説明してきました。
かなり長い内容だったので、難しいと感じた方も多いかもしれません。
ポイントを踏まえた上で、自身の能力向上のために明確な目標設定をし、練習計画を練っていきましょう!
- 練習期間は、一般的準備期・専門的準備期・試合期・移行期の4つの期分けがある
- トレーニングは自分に適した強度で、徐々にレベルを上げていくのが良い
- トレーニングは2~3ヶ月で成果が出るので、継続することが重要
- PDCAサイクルを回して、練習を評価・改善していく
最後までご覧いただきありがとうございました!
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