【短距離必須!】足が速い人が身に着けている「乗り込み」の技術とは?

トレーニング理論
  • 「乗り込み」っていったい何なの?
  • 「乗り込み」はなぜ短距離に必要なの?
  • 「乗り込み」はどうしたら身につくの?

陸上選手なら必ず耳にいたことがある「乗り込み」という言葉。

指導者に「もっとうまく乗り込め」とか「乗り込みが重要だ」とか言われたことがある人も多いでしょう。

しかし実際には、指導者自身も乗り込みをうまく説明できない場合がほとんどです。

そこで今回は、乗り込みとは何なのか、どうすれば乗り込みができるようになるのかについて解説していきたいと思います。

サク
サク

私自身も、習得するまでは「乗り込み」についてよくわかっていませんでした。

乗り込みについて知りたい方や、乗り込みを習得したいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください!

「乗り込み」とは

そもそも「乗り込み」とはいったい何なのでしょうか?

指導者が何度も繰り返し言うように、乗り込みは短距離にとって必要な技術であることは間違いありません。

しかし、乗り込みができる人の感覚は、必ずしも乗り込みができるようになるための感覚とは限りません。

サク
サク

私自身も、実際に体感するまでは、乗り込みの感覚は全く分かりませんでした。

乗り込みを身に着けるために、乗り込みとは具体的にどいうものなのか考えていきましょう!

具体的に以下の3点について説明していきます。

  • 「乗り込み」があらわす言葉の意味とは
  • 「乗り込み」には地面反力が必要
  • まとめ:うまい「乗り込み」とは?

順番に見ていきましょう!

「乗り込み」があらわす言葉の意味とは

「乗り込み」という言葉をそのまま解釈すると、体の重心が接地している脚に乗るまでの過程を表していると考えられます。

走っているときは、必ず自分の重心よりも前に接地を行います。

体は前に進んでいるので、前に接地した足に重心が移動することになります。

そのため、「乗り込み」とは、支持脚が地面に接地してから重心が乗るまでの間を指していると考えられます。

サク
サク

陸上に「乗り込み」が必要だといわれているのは、スピードを決める過程は重心が支持脚に乗るまでの間だからです!

重心の後ろで接地をしてしまうと、前に倒れてしまうので、支持脚よりも前に重心が来てからの動作はあまり有効ではありません。

足が後ろに流れる原因にもなるため、この「乗り込み」の技術が短距離に必要なのであることは明白です!

「乗り込み」には地面反力が必要

「乗り込み」があらわす過程は理解できても、それだけでは「うまい乗り込み」とは言えません。

なぜなら、乗り込みに最も重要なのは地面反力を得ることだからです。

短距離は速く前に進むことが重要なので、体の近くで素早く接地を行うことで、足が速くなると考えられます。

しかし実際には、無理に体の近くで接地すると、体を浮かせるだけの力が生まれないので、空回りしてしまいます。

そこで、地面反力によって上向きの反発力を得ることが必要になります。

トップスプリンターと非スプリンターでは、接地時間がかなり違い、トップスプリンターのほうが接地時間が短いことが分かっています。[1]

トップスプリンターは、接地の初期、つまり乗り込みの段階で大きな地面反力を得ていることが分かりました。

サク
サク

私が乗り込みを習得できなかったのは、乗り込みに必要な筋力がなかったからだと考えられます。

大きな地面反力を生むためには、筋量が必要なので、地面反力を得るためには衝撃に耐えられるばねを鍛える必要があると考えられます。

まとめ:うまい「乗り込み」とは?

以上の観点から、うまい乗り込みとは次のような内容になると考えられます。

接地してから支持脚に重心が乗るまでの間に、大きな地面反力を獲得し、またそれらの動作をスムーズに素早く行えること

このようになると考えられます。

サク
サク

このことを基準に速い人の動きをみると、「乗り込み」がいかにうまいかが分かると思います!

「乗り込み」を習得したい人は、重心の位置や地面反力を意識して自分の動作を確認するといいでしょう!

乗り込みに必要な地面反力を大きくする3つの要素

「乗り込み」がどういうものか分かったけど、具体的にどういうことをすればいいのかわかりませんよね。

そこで、「乗り込み」を習得するのに必要な3つの要素について解説します。

乗り込みの技術を習得するためには基礎となる要素が必要です。

サク
サク

私も基礎からコツコツと積み重ねたことで乗り込みを習得できました!

基礎となる筋力や技術を身に着けることが、乗り込みを習得する近道になります。

具体的には以下の3つの要素です。

  • 硬くて強い脚のばね
  • 遊脚や腕を素早く振り込める筋力
  • 走る姿勢を維持する体幹

1つずつ見ていきましょう!

硬くて強い脚のばね

接地の衝撃に耐えて大きな地面反力を得るためには、硬くて強い脚のばねが必要です。

地面反力が得られなければ、つぶれたような走りになってしまいます。

脚のばねの力は伸張反射によって得られます。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください!

サク
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私自身も筋トレによって下半身を強化してから、得られる地面反力が格段にアップしました!

乗り込みによって地面反力を得るために、足の硬くて強いばねを鍛えていきましょう!

遊脚や腕を素早く振りこめる筋力

遊脚や腕の素早い振り込みは、地面反力を大きくするのに役立ちます。

立ったまま重たいハンマーを下にぶんぶん降ると、ハンマーが最下点に来たタイミングで足に力が入ると思います。

この振り子のような現象を、遊脚や腕で再現することで、より大きな力を地面に加えることができ、地面反力が大きくなります。

しかし、遊脚と腕、乗り込みのすべてのタイミングを合わせることは難しく、ずれると逆に前に進む力が小さくなります

サク
サク

体の使い方を覚えて、すべてのタイミングが一致すると、推進力が増して、足が速くなったことを実感できます!

大きな地面反力を得るために、乗り込みと遊脚の振り込み、腕振りの3点のタイミングを合わせる意識で走り込みをしてみましょう!

走る姿勢を維持する体幹

走る姿勢を維持する体幹は、地面反力を得るためにはなくてはならない要素です。

地面に接地したときに、地面反力を得るためには、腰の位置を持ち上げて空中で準備をしている必要があります。

また、接地した衝撃をうまく上向きの力に変えるためには、上半身の安定性も重要になります。

これらのことから、体幹を鍛えて、空中や接地時に姿勢を維持する必要があります。

骨盤の位置をやや後継して固定することは、伸張反射を起こすためにも重要になります。

サク
サク

体幹周りの筋肉は、地面反力を上だけでなく前向きにするためにも重要になります!

体幹部を鍛えて、乗り込みで得られる力を最大限利用できるようにしましょう!

乗り込み習得のトレーニング

乗り込みに必要な要素は理解したけど、どんなトレーニングをしたらいいのかわかりませんよね。

次は、乗り込みのを習得するために必要なトレーニングについて紹介していきます。

乗り込みに必要な硬くて強いばねと、遊脚の振り込みを鍛えることで、乗り込み習得に大きく近づきます。

サク
サク

私も筋トレとドリルによって、乗り込みの感覚を撤退的に体に覚えこませました!

具体的なトレーニング内容は以下の通りです。

  1. 硬くて強い脚のばねを鍛える
    • アンクルホップ
    • ボックスジャンプ
  2. 遊脚の素早い振り込みを鍛える
    • 高速スキップ
    • バウンディング

ポイントについて詳しく見ていきましょう。

硬くて強い脚のばねを鍛える

足の硬くて強いばねを鍛えるには、ジャンプトレーニングが効果的です。

地面反力を得るトレーニングとしては、垂直跳びではなく、リバウンドジャンプのような繰り返し行ったり、反発を使ったトレーニングをするといいでしょう。

サク
サク

あらかじめ空中で着地姿勢を作っておくのが効果的です。

具体的には以下の2つが効果的であると考えられます。

アンクルホップ

アンクルホップはもっとも手軽に行えるジャンプトレーニングの1つです。

ポイントは以下の3点です。

  • 膝は軽く曲げた状態で固定する(なるべく接地時に曲げない)
  • 股関節からの力発揮を意識する
  • 接地する脚はフラットかややかかとよりで接地する

何回も連続で行うと疲れてしまうので、1セット当たり10~15回を目安にするとよいでしょう。

サク
サク

縄跳びを使うと遊びの要素が加わるので、中学生などの練習には効果的だと思います!

自重ででき、道具も必要ないので、アップの1つとしてアンクルホップを取り入れてみましょう!

ボックスジャンプ

ボックスジャンプは、高い位置から降りた時の反発を使って行うジャンプトレーニングです。

ポイントは以下の点です。

  • 股関節からの力発揮を意識する
  • 接地時はなうべくひざを曲げずに固定する
  • 足首をなるべく使わない

高さがあるため、自分の力で飛ぼうとしがちですが、接地がつぶれて効果が薄くなるので、なるべく反発だけでボックスに乗り上げるように意識しましょう。

サク
サク

ボックスを何台か並べて連続で行うと、より走りに近い感覚で練習できます!

より走りに近い形でトレーニングできるので、ボックスジャンプで強いばねを鍛えましょう!

遊脚の素早い振り込みを鍛える

遊脚の素早い振り込みを鍛えるには、速く走ることが最も効果的になります。

素早い振り込みには、腸腰筋で足を引き上げる力が必要です。

また、地面から反発をしっかりもらうことで、足の引き上げが補助されます。

サク
サク

私は腸腰筋が強くないので、地面からしっかり反発をもらうことを意識していました!

遊脚の素早い振り込みを意識できるトレーニングは以下の2つです。

高速スキップ

高速スキップは、ゆうきゃっくの振り込みを意識するのに効果的です。

ポイントは以下の3点です。

  • 遊脚を強く引き込む意識をする
  • 支持脚よりも重心が前に来たら脱力する
  • 股関節から地面を押す意識を持つ

普通のスキップと異なり、速く、遠くに行くことが目的なので、負荷が高くなります。

遊脚を振り出す筋肉はもちろん、振り出した遊脚にブレーキをかける筋肉も重要になるので、かなり難しいです。

サク
サク

高速スキップをうまくできるようになると乗り込みが格段にうまくなります!

自分の走りを確認する指標にもなるので、ウォーミングアップに高速スキップを取り入れてみましょう!

バウンディング

バウンディングは、走る動作に重要な要素が詰まったトレーニングです。

ポイントは以下の2点です。

  • 遊脚の振り込みと支持脚の接地のタイミングを合わせる
  • 体の近い位置で接地をして上向きの反発力を得る

バウンディングは遊脚の振り込みによって前に進む力が生み出されるので、なるべく地面からの反発を意識して行いましょう。

接地するために無理に足を挟み込もうとするとハムストリングスを痛める原因となるので、膝の下にまっすぐおろすとよいです。

サク
サク

バウンディングは基礎の技術をより走りに近づけるトレーニングなので、自分の状態を見るためにも有効です!

負荷が高いので、毎日やることはおすすめしません。

より正確に地面をとらえられるようになるために、バウンディングを練習に取り入れてみましょう!

まとめ

今回は「乗り込み」について解説していきました。

乗り込みは短距離だけでなく、陸上競技や球技でも共通する感覚なので、習得することはスポーツの上達に関わると思います!

ぜひ今回説明した内容を生かして、乗り込みの練習に取り組んでみてください!

まとめ
  • うまい乗り込みとは「接地してから支持脚に重心が乗るまでの間に、大きな地面反力を獲得し、またそれらの動作をスムーズに素早く行えること」
  • 乗り込みには、「強くて硬い脚のばね」「遊脚や腕をすばやく振り込む筋力」「姿勢を維持する体幹」が必要
  • 地面反力をコントロールすることが乗り込み習得につながる!
参考文献

[1]Clark, K. P., & Weyand, P. G. Are running speeds maximized with simple-spring stance mechanics?. Journal of applied physiology, 117(6), 604-615.(2014).

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