【効果絶大!】陸上短距離における坂ダッシュの3つの効果と根拠を解説!

トレーニング理論
  • 坂ダッシュってどんな効果があるの?
  • 坂ダッシュはどんな練習メニューがいいの?

短距離に有効な練習いまいち効果を理解していないいまいち効果を理解していない人も多いですよね。

そこで今回は坂ダッシュがなぜ短距離に有効なのかを説明していきます。

サク
サク

私自身も坂ダッシュのおかげでPBを更新していくことができたと思っています!

坂ダッシュの有効性についてよく知らない人は、最後までご覧ください!

坂ダッシュの3つ効果とは

坂ダッシュは根性練習だからやる意味が無い!

このように考えているかもしれませんが、そんなことはありません!

Tziortzis(1991)の研究によると、傾斜8°の坂を用いて12週間のトレーニングを行うことで、ピッチが2.4%、最大疾走速度は3.3%向上したことが報告されています。

サク
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最大疾走速度の向上は短距離選手にとってかなり重要です!

具体的にどのような効果が期待できるのか、以下の3点を紹介します。

  • 挟み込みと前さばきの感覚がつかみやすい
  • 臀部を中心とする下半身の筋力の向上
  • 筋持久力の向上

順番に見ていきましょう!

挟み込みと前さばきの感覚がつかみやすい

坂ダッシュでは、傾斜がきつくなるほど接地時間が長くなり、遊脚の引き出すタイミングが早くなることが報告されています。[1]

速度が出にくいために、遊脚の引き戻しが簡単になるので、挟み込みや前さばきの感覚がつかみやすくなります。

ここで注意してほしいのが、「前さばきが簡単=前さばきに必要な筋力が鍛えられる」ではないと言うことです。

あくまで、感覚がつかみやすくなるだけですので、筋トレや平地でのダッシュによって必要な筋肉を鍛えることが必要です。

臀部を中心とする下半身の筋肉の向上

坂道では速度が出づらいため、低速度で高出力の力を発揮することが必要になります。

そのため加速に必要なエンジンの役割をする臀部を中心とした下半身の筋肉が鍛えられます。

坂道では臀部の筋力発揮が大きくなり易いことも報告されています。[2]

サク
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大きな力をすばやく発揮するトレーニングとなるので、ウエイトで鍛えた筋力を走りにつなげるトレーニングとして有効です!

筋持久力の向上

距離を調節することで、筋持久力を強化するトレーニングにもなります。

坂ダッシュでは、傾斜の影響で常に加速しなければスピードが維持できないため、平地で走るよりも筋力が使われ、トレーニングの負荷が高くなります。

そのため、平地よりも短い距離で高負荷なトレーニングを行うことが可能になります。

距離や休息時間を調整すれば、無酸素運動を繰り返すことができ、筋持久力の向上が望めます。

サク
サク

坂ダッシュが根性連と言われるのはこのためですが、他にもメリットがあることを意識して目的を持ってトレーニングしましょう!

坂ダッシュで気をつける点

坂ダッシュのメリットを3つ紹介しましたが、デメリットも存在します。

デメリットに気をつけなければ、練習効果が得られても、逆に足が遅くなってしまうことになりかねません。

坂ダッシュで気をつける点は以下の2点です。

  • 足首や膝の動きが強調される
  • 平地と感覚が違う

これらについて詳しく見ていきましょう!

足首や膝の動きが強調される

坂ダッシュでは、地面に加重して推進力を得る必要があるので、接地時間が長くなります。

この時に、地面を押そうとするあまり、足首や膝を伸ばす動作が強調されます。[1]

足が速い人ほど、地面を蹴るときの足首や膝の曲げ伸ばしが小さいことが報告されているため、[3]
坂ダッシュだけをしていると、足が遅くなる可能性があります。

サク
サク

坂ダッシュは加速局面には効果的なトレーニングですが、他の区間のトレーニングも必要と言うことですね!

平地と感覚が違う

坂道では、挟み込み動作喉が容易に行えますが、平地でも同じ感覚で走れるとは限りません。

特に、地面を強く押そうとするあまり、足が後ろに残ってしまったり、坂道とは違って遊脚の引き上げが遅くなるなどして、足が流れてしまうことが考えられます。

平地との感覚の違いはタイムにも大きな影響を及ぼすので、大会前に坂ダッシュはしない方がいいでしょう。

坂ダッシュの練習メニュー例

ここまで、坂ダッシュで得られる効果や気をつける点について説明してきました。

最後に、具体的にどんなメニューをやればいいのか、実体験も踏まえてあげていきます!

今回説明するのは100m選手向けなので、400mなどの選手は距離を調節すると良いかもしれません。

具体的に以下の3つの場合のメニューを挙げていきます。

  • 挟み込みや前さばき動作を意識する場合
  • 足の筋力を高める場合
  • 筋持久力を高める場合

それぞれ見ていきましょう!

挟み込みや前さばき動作を意識する場合

挟み込みや前さばき動作を意識する場合の練習メニュー例です。

  • 30m×5本
  • 50m×5本
  • 80m×1本

動作を意識するためには、高い出力を維持する必要があるため、本数間の休息はしっかり取りましょう!

本数が多すぎると動作に意識が向きにくくなり、こなすだけの練習になってしまうので、本数は余り多くしないのがおすすめです!

集中力を持続させれるように、効率的に短時間で練習をするようにしましょう!

足の筋力を高める場合

足の筋肉を高める場合の練習メニュー例です。

  • 30m×3本×3セット (walk back/セット間7分以上)
  • 50m×3本×2セット (walk back/セット間7分以上)

負荷を高めるために、傾斜をきつくするのが効果的です。

1本1本高い出力を維持することが重要なので、本数間の休息も長めにとっても大丈夫です。

完全に回復する前に、走ると筋持久力も同時に鍛えられるので、自分に合った休息時間を設定しましょう!

筋持久力を高める場合

筋持久力を高める場合の練習メニュー例です。

  • 50m×5本×3セット (walk back/セット間7分)
  • 100m×3本×2セット (walk back/セット間10分)

ポイントは1本1本出し尽くすことです!後先なんて考えてはいけません!

サク
サク

私は一人で練習することが多いので、自分を追い込めるようにこのメニューを多用しています!

疲れているからといってフォームをおろそかにすると、練習効果が減ってしまうので、疲れているときこそフォームを意識して走りましょう!

まとめ

今回は、坂ダッシュの有効性について解説していきました。

効果と気をつける点をしっかり理解しいていれば、足が速くなること間違いなしです!

ぜひ、今シーズンの練習に取り入れてみてください!

  • 坂ダッシュにより最大疾走速度の向上が見込める
  • 坂ダッシュには、動作感覚の向上や筋力アップが期待できる
  • 平地とのギャップには注意が必要

最後までご覧いただきありがとうございました!

参考文献

[1]杉本祐太,前田正澄,上り坂疾走における傾度の違いが疾走速度に及ぼす影響,コーチング研究,27,203-213,(2014).
[2]Vernillo, G., Giandolini, M., Edwards, W. B., Morin, J. B., Samozino, P., Horvais, N., & Millet, G. Y. Biomechanics and physiology of uphill and downhill running. Sports Medicine, 47(4), 615-629.(2017).
[3]伊藤章, 市川博啓, 斉藤昌久, 佐川和則, 伊藤道郎, & 小林寛道,100m 中間疾走局面における疾走動作と速度との関係,体育学研究, 43(5-6), 260-273,(1998).

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