- 100m選手なのになんで300mを走るの?
- 短距離に有酸素運動は必要なの?
- 練習にジョギングがあるけど短距離に効果があるの?
短距離なのに有酸素運動や、ロングスプリントをすることに疑問を持つひとが多いと思います。
そこで今回は、なぜ100m選手が有酸素運動をする必要があるのかを解説したいと思います。
私も疑問に思うことが多かったので、これを機に一緒に勉強しましょう!
短距離の有酸素運動に疑問を抱いているひとは、ぜひ最後までご覧ください!
有酸素トレーニングが必要な2つの理由
まず始めに短距離選手に有酸素とレーニングが必要な理由について解説します。
具体的には、以下の2つの理由があります。
- 100mでも有酸素系のエネルギーが使われる
- 高負荷のトレーニングが可能になる
順番に見ていきましょう!
100mでも有酸素系のエネルギーが使われる
人間が運動する際には、無酸素性のエネルギー機構と有酸素性のエネルギー機構の2つのエネルギー機構を用いて、運動に必要なエネルギーを作っています。
これらの機構は、運動強度や運動時間によって、どの機構をメインに使うかが決められます。
短距離のような運動強度が高くて運動時間が短い場合には、無酸素性のエネルギーを多く使います。
逆に長距離のような運動強度が低くて運動時間が短い場合には、有酸素性のエネルギーを多く使います。
このことから無酸素運動/有酸素運動と言われるわけです。
しかし、近年の研究では、短距離でも有酸素性のエネルギーを使っているであろう事が報告されています[1]。
具体的には、100m走では約20%、200mでは約33%、400m走では50%が有酸素性のエネルギーを得ている可能性があるというわけです。
このことから、短距離でも有酸素性のエネルギーを得る練習は必要であり、400mでは特に注力すべきであるということが言えます。
高負荷のトレーニングが可能になる
有酸素運動を取り入れることは、高負荷なトレーニングが可能になります。
有酸素運動により、エネルギー供給が向上すると、体の回復力が向上します。
回復力が高まると、高負荷の練習を続けて行うことができます。
また、回復力が高まることで、怪我や故障のリスクが下がります。
結果として、長期間の高負荷トレーニングが可能になります。
冬期にロング練習が多い理由の一つは、怪我を防止する能力を得るためだと思います!
ジョギングではダメ!有酸素トレーニングの弊害
短距離選手が有酸素トレーニングを行う必要性については理解していただけたかと思います。
しかし、これから有酸素トレーニングを取り入れる場合、何をやったらいいかわからないですよね。
有酸素トレーニングといえばジョギングでしょ!
と考えるひとが多いと思いますが、ジョギングでは逆に足が遅くなってしまう可能性があります。
短距離選手がジョギングを行うデメリットを3点紹介します。
- 筋肉が分解される
- 速筋が遅筋に変化する
- コルチゾールが増加する
それぞれ解説していきます!
筋肉が分解される
運動にエネルギーが必要なのは、前述したとおりです。
このとき、エネルギー源として、グリコーゲン・脂質・筋肉が使われるます。
一番最初はグリコーゲンから分解されていくのですが、グリコーゲンは体内に貯蔵できる量が決まっています。
グリコーゲンがなくなると、脂質や筋肉が分解されていきます。
短距離選手の多くは体脂肪率が低いため、筋肉の分解割合が多くなってしまいます。
運動時間が長いジョギングでは、筋肉が分解されてしまう可能性があるので、できるだけ控えましょう。
速筋が遅筋に変化する
筋肉には、無酸素運動が得意な速筋と、有酸素運動が得意な遅筋に分けられます。
人間の体は、運動に適応しようとする働きがあるため、ジョギングのような有酸素運動を長く続けると、速筋よりも遅筋の割合が多くなってしまいます。
結果として、瞬発力の低下を招くので、記録が低下してしまう可能性があります。
スプリントがメインで行っている場合には、そこまで影響はないので、ジョギング中心にすることは避けましょう。
コルチゾールが増加する
コルチゾールとはストレス応対ホルモンの一種で、ストレスが高まると過剰に分泌されます。
長い距離を走ることでストレスを感じると、このコルチゾールを分泌するためにエネルギーが消費されます。
エネルギーの消費が多くなると、回復力が低下し、練習の質が落ちてしまいます。
有酸素運動はストレスがたまらない適切なア距離を選ぶのがいいでしょう。
有酸素トレーニングの例
ジョギングのデメリットについて理解していただけたでしょうか?
ジョギングができないならどんな有酸素トレーニングをすればいいの?
このように思ったひとがいると思うので、次は短距離におすすめの具体的なトレーニングを3つ紹介します。
- インターバルトレーニング
- セット走
- タバタトレーニング
順番に見ていきましょう!
インターバルトレーニング
インターバルトレーニングは、一定の距離を短い休息で回数をこなすトレーニングです。
具体例は以下の通りです。
- 50m×10本 30秒休憩
- 100m×8本 1分休憩
- 200m×5本 2~3分休憩
- 2分走るー2分休憩 ×6~8本
セット走
セット走は、複数の距離の組み合わせなどで、本数とセットを多くこなすような練習です。
具体例は以下の通りです。
- (300m+200m+100m)×3セット セット間7分休憩
- 200m×3本×3セット セット間10分休憩
自分が必要な距離を考えて設定していきましょう!
タバタトレーニング
(20秒間の全力運動+10秒休憩)×8セットを行うトレーニングです。
主にエアロバイクで行われるトレーニングなので、質ないで練習するときは取り入れると良いかもしれません。
実際にやるとかなりきついので、それなりの覚悟を持ってやりましょう(笑)
まとめ
今回は短距離選手の有酸素トレーニングの有効性について話してきました。
有酸素が必要と言っても、大切なのは最大スピードを高めることなので、速筋と遅筋エおバランス良く鍛えていきましょう!
- 100mでも有酸素性のエネルギーを使う
- 有酸素トレーニングにより高負荷のトレーニングが可能になる
- ジョギングによる有酸素トレーニングは短距離の練習には向かない
[1]日本トレーニング科学会編,スプリントトレーニング-速く走る・泳ぐ・滑るを科学する-,朝倉書店
[2]奥澤康夫,スポーツ活動における陸上競技の効果的指導法に関する考察
最後までご覧いただきありがとうございました!
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